春です。さっちゃんはひとり、公園へ向かいます。
すると、1匹ののらねこがさっちゃんに、話しかけてきました。
「ぼくのおねがい、聞いてくれませんか?」
そののらねこは、さっちゃんに「名前を付けて欲しい」とお願いします。
春のぽかぽか陽気に、ほのぼのとしたムード。
でも、のらねこもさっちゃんも真剣。
だって、のらねこの一生に関わる重大な出来事ですから。
名前って、一人に一つずつしかないもの。
親が一生懸命考えた名前だから、その願い想いが込められている大切な宝もの。
娘にも、機会があるごとに名前の由来を話してきたつもりです。
だから、自分の名前に愛着を持ってほしいし、自分の名前に自信を持ってほしい。
「もう一回、ぼくの名前を呼んでくれますか?」
「ええ、なんどでも呼んであげる。しっぽ。」
「はい。」
「しっぽ。」「はい。」
「しっぽ。」「はい。」
のらねこだったしっぽの嬉しさがたまらなく伝わってきます。