田島征彦さんの、温かみと味がある型染めの絵からなる絵本です。自閉症のやっくんの学校生活、彼をとりまく人たちの思い、出来事、大人になってからのこと。いろんなことが、この絵本に詰まっています。中身の濃い絵本だと思いました。
ゆうすけが転校してきた学校には、不思議な言動をする男の子がいました。やっくんです。みんなは、やっくんが大声をだした時は、落ち着くまで待ちます。そして、遊ぶ時も勉強する時も一緒。子どもたちは、やっくんはこういう子だと自然に受け止めているのです。そして、どう付き合ったらいいのか自ら学んでいます。困ること、大変なこともあるけれど、全部まとめて、みんなの学校生活。
そして、大人になったやっくんは、仕事をしています。一緒に育った友達との交流もあります。やっくんは、単に守られる存在というのではなく、社会の一員として働き、時には人を励まし、慰める方の存在でもあります。
この絵本から、いろんな子どもが「共に育つ」ことの良さ、大切さが伝わってきます。みんなが「共に育つ」ことは「豊かな育ち」でもあります。子どもや教育に関わる人、特に、施策に関わる方々にも読んでいただきたいなと思いました。