子供が「んっ?」と思うようなことがたくさんたくさんちりばめられた絵本です。まずタイトルがかかれた1ページ目、「これは ぐるんぱが かいた じ です」とちいさく注意書き。字に興味を持ち始めたころのお子さんなら、そうなのか...とまずぐっと気持ちがひきこまれることでしょう。そして、意外なほど強調されているのがぐるんぱの汚れ具合・くささ。くさーいにおいもします...とか、くさいのでみんなはなをそらにむけています...とか、妙なポーズの会議中のぞうたちの絵などでひきつけられない子供はいないのではと思いました。ぐるんぱはちょっとかわいそうですけど...。
修行にいくおみせの人の名前も、単純でコミカルです。失敗をくりかえすたびに増えていく「しょんぼり」の数も、子供の共感を呼ぶと思います。
でも、失敗したり涙がでるほど寂しかったりした経験が「ぐるんぱみたいに ひとりぼっちのこどもも たくさん きました」という場面できっと生きてきたことでしょう。失敗作がみんな大活躍し、子供たちも大喜びの楽しい幼稚園ができました。
ここでも「ぐるんぱはみんながよろこぶようにがんばりました」というのではなく、ぐるんぱ自身のためにしていることが誰かに喜ばれている、というスタンスなのがすごくいいなと思います。
最後に「びすけっと、まだ たくさんのこっていますね。」と遊び心たっぷりな文章でおはなしが終るところも、子供の目線に立っている感じでおかしみがあって好きです。