誰もがたぶん名前くらいは聞いたことのある本なので、買わなくても、ぜひ一度は読んで欲しいです。
安寿と厨子王の姉弟は、母と一緒に逃げ延びる途中、悪い人攫いにつかまり、母が二人を引き離さないで、と泣くのを尻目に売られます。売られた先で、お互いを思いやり、気にしながら働く姿は涙をそそります。そのうち、安寿が厨子王を逃がすのですが、安寿は拷問で殺されてしまいます。厨子王は逃げて位を与えられ戻りますが、安寿は既に亡くなった後、、、。しかし、落ちぶれた鳥追いの母に遭遇し、なんとか京へ戻るお話。
鳥追いの説明はないですが、江戸時代くらいだと鳥追い女といえば流れ者で、娼婦だったり夜鷹だったり、心中しそこねた芸者だったりします。この安寿と厨子王の時代はどうなのかわかりませんが、貴族の母上が鳥追いにまで身を落とした姿は涙を誘います。しかもこの和風な絵の母親、白髪交じりでくたびれきって足を投げ出して座っていて、なんだか目も見えないかのような表情で、本当に哀れ。
3歳には早いけど、とても感動的。小学生くらいにならないと心情を理解しづらいかもしれません。
しかし、安寿はただあっさり死ぬだけで終わってしまうのですが、、、、もう少し何かして欲しかったです。安寿が一番哀れかも。