エンをドウ豆の種から菩提樹が育ったという奇跡の物語です。
少女の念願した奇跡が起こったというお話です。
でも、私の気持ちは疑問符だらけのお話なのです。
この絵本を、読む人がどのように受け止めるかを試されているような作品です。
両親を失ったマーリンは、「貧しい人たちの小屋」に入れられることになりました。
昔々のスウェーデンには、村ごとにこんな小屋があったというお話です。
福祉国家スウェーデンにこんなに暗い過去があったのでしょうか。
高齢者、貧困者、障がい者が、衛生管理もなされないままに押し込められていたのです。
マーリンは、物乞いの手伝いをするようになりました。
このようなどん底生活で、夢に見た菩提樹ができ、ナイチンゲールが鳴いて、住人に希望を与えたという奇跡を美学として受け止めていいのでしょうか。
現代社会ではあるまじき隔離政策です。
読み終えて、私が感じたのは憤りでした。
だからと言って、現代社会がどれだけ改善されているのか、
振り返って考えるのには、毒気をもった刺激材料かもしれません。