泉鏡花の絵本という異色の作品です。
少年と母親との掛け合いで連ねられた、不思議な物語。
渡り橋の通行料で生計を立てているという不思議な親子の前を、通り抜ける人々が鳥獣戯画のように描かれていきます。
無賃通行しようとした少年の学校の先生の人間性と、少年との考え方の違いが、少年を観念の世界に誘います。
話の重要なポイントは、少年の臨死体験。
少年を死の世界から救った不思議な鳥はいったい誰だったのでしょうか。
中川学さんの絵が、原作のアレンジをみごとに絵の世界で膨らませています。
見て飽きない絵本です。