【内容】
日本、ラオス、アフリカで、虫を食べる人々を取材。現地に行き、実際に筆者も食べてみたり、虫を捕まえたり、体当たりで研究しました。日本のイナゴ、蜂の子、ラオスはコオロギやカメムシ、アフリカはカラハリ砂漠で芋虫などを食べている。どの地域の人々も、虫は貴重なご馳走で、うれしい楽しい食事。
【感想】
以前から気になっていた本。背表紙だけ見ると、ゲテモノのような気がしていた。怖いもの見たさで、思い切って読んでみる。意外と、昆虫に対する真摯な態度、愛情が感じられ、爽やかな気持ちになった一冊。その土地に伝わる食文化を尊重し、地元の人たちと交流しながら虫を取って、食べて、研究する姿が感動的だった。
食べている人たちも、実にうれしそう。昆虫はどちらかというと特別な、高級な食材のようで、ラオスなどでは捕まえた後、市場で売って、現金収入になる。肉よりも高い。みんな真剣な目で、おいしそうなコオロギを選んでいる。若い女性も食べる。
カメムシも食べる(ラオス)なんて、驚きだ。世界中に虫を食べる文化があって、それぞれの地域によって食べる虫は違う。日本もイナゴや蜂の子、蚕など、いろいろな虫を食べていた。私の祖父母もイナゴの佃煮を食べていた。イナゴを捕まえるのは、旬の時期があって、うちのばあさん曰く「早い時期は水っぽくてうまくない、稲刈りが終わったくらいの時期がうまい」とか。私は農家で生まれ育ったけど、イナゴは全くダメで、全然食べられない。イナゴを見ると恐怖感を感じる。(前世でイナゴの大群に襲われたのだろうか…)好きな人には応えられない「食材」だそうだ。
いろんな地域の食べ物を知ることはたのしい。
この本は、筆者の昆虫や、昔からの食文化に対する尊敬の念が感じられ、とても清々しい気持になれる本だった。…ちょっと食べてみたくなった、かな?