きれいな古典児童文学と思えば、もう少し評価もあろうが、刺激物に慣れたのか、どうにも暇だった。飼い犬の姿が見当たらないという日常風景を一冊に引き延ばした感。
でもピアスの時代のおはなしって、こういうの多いし、孫に語るお話としては美しくまとまっている。決して悪くない。 むしろ良質。
現代のジェットコースターストーリーに慣れすぎた自分を実感。子供だけの時間を追った、ゆっくりした本を忘れていた。
子供のころ、こういうのを楽しい楽しいと読んだではないか。忙しい日々のなかで、子供だけに流れる緩やかな時間を忘れてしまっている。
裏を返せば、そういう子供だけにわかる大切な時間を切り取った物語。
結局野原の精のようなオジサンの二面性ってことだろうか??
ご存じフィリパ・ピアスと、絵本「アンジェリーナ シリーズ」画家のヘレン・クレイグは、共通の孫を持つ親戚同士だそう。その孫に向けた一冊だということで、ガーデニング好きだったり雑貨好きだったりのナチュラリストにはおしゃれにさえ感じる自然スケッチが、あちこちに施されています。絵を追うだけで楽しい。