手島の版画は、人の目をつかんで離さない。
まるで目の前でそのものがくり広げられているかのように、立体的なのだ。
奥の深い、ことばのない音の世界が、文字を蹴散らかすほどの迫力で、
実はページをくることもつい、忘れてしまいそうになる。
白鳥の湖、白鳥の飛び立ち、大空に舞う白群…。
それらすべてのページには、命の尊さが刻み込まれている。
うつくしいという感動以上に、ことばにならないほどの、大切なことが
手島の思いとともに綴られている。
「家族」…文字にすればたった二文字。考えても、考えても、
本当の姿、答えの見つからないこの厄介なことばに向かって、
手島は真正面から、私たちに伝えようとしているのではないか。
子どもとみんなで、しずかに読む。
最良の絵本に、出会えて、うれしかった。
感謝