なんとも発想豊かな絵本だ。
ほししいたけをモデルに絵本ができるなんて思いませんでした。
だって、ほししいたけの、しわしわが絵本の主人公になるなんて思います? いくら栄養がうまみがあっても、あまり思わない。
しかも、このタイトル。ほししいたけに「点々」をくわえて、「ほしじいたけ」。
うまい。
もっといえば、いつものしわしわの「ほしじいたけ」ですが、森の「きんるい」、これは菌類です、の仲間はピンチにおちいれば、自らの身体を水につけて、あらま、力強い「わかものしいたけ」に変身するのですから。
こんな発想は普段台所に立つ人でないとわいてこないのではないでしょうか。
しわしわのほししいたけを水でもどせば、ぷっくら肉厚のしいたけになる。そのことをしっかり見ていないと、わからない。
この絵本は、それだけで十分楽しめます。
さらには、この絵本に登場するきのこの仲間たち。
タマゴダケ、オオワライタケ、ホウキタケ(このホウキタケがせっせと掃除しているのなんて笑ってしまいました)、ヌメリイグチ、それにキヌガサタケ。
いやいや「きんるい」の仲間たちも随分楽しそうです。
どうして「ほしじいたけ」が若者しいたけに変身したかというと、子どもたちがおにごっこをしていたら、タマゴダケが崖から落ちてしまったんです。それを助けようと、「ほしじいたけ」は谷底に降りたのですが、しわしわですから崖をのぼる力がありません。
そこで自ら水にとび込んで若者しいたけに変身したのです。
ところが、高い崖の途中で力がなくなってきました。あやうし、若者しいたけ。
と、そこに「ほしばあたけ」も若者しいたけに変身して、二人を助けます。
いつも仲のいい「ほしじいたけ」と「ほしばあたけ」は、若者しいたけになっても仲がいいのです。
「ほしじいたけ」たちの活躍を見ていると、人間の「ほしじいたけ」も「ほしばあたけ」もまだまだやれるのじゃないかと思います。
案外この絵本は老人たちに受けたりするかも。