東ヨーロッパからアメリカに、単身で移住してきた若者の人生と、人生を共にしたコートのお話です。
そこで仕立屋となった若者は、コツコツと働くところで、運命の出会いがありました。
故意をして結婚し、子どもが生まれ、孫ができました。
孫娘から見たおじいちゃんの人生が、おじいちゃんの仕立てた一着のコートとともに語られます。
イディッシュ語の民謡をベースにしているということなので、どことなく音楽的な物語の流れに、しみじみとしたものがあります
繰り返し着ていることで傷んできたコートは、人生の様々な節目で、上着に仕立て直され、チョッキに姿を変え、これ以上どうにもできないところで、孫娘は母親になりました。
4世代に渡るファミリー・ヒストリーをともにしたコートの変様には、何とも味わい深いものがありました。
自分の大切にしてきたものを、作り直して自分とともにいる。
素晴らしいことです。
変わっていく姿に面白味もあるけれど、なんだかしみじみとしてきました。
おじいさんが、若者から次第に老いていく姿にも、充実感があります。
「おじいさんならできる」という絵本との共通点も多いので、読み比べるのも味わい方の一つかも知れません。