ダールさんの作品ならではのハチャメチャさはあるものの、読み物として最後まで楽しく惹き付けられる作品です。
映画化されるんですか〜、それは楽しみですねぇ。
父さん狐が、愛する家族の為に近くの農場からちょいと失敬するニワトリ・アヒルそして七面鳥等々。
農場主にしてみれば許せぬ存在の父さん狐。
怒り狂って追いまわしてもなかなかつかまらない。
読者は、農場主に同情すべき所でしょうが、冒頭からこの三人の農場主のキャラクターのいけすかなさが強調されていて、読みながら不快に思えてきます(笑)。
ブヨブク(養鶏場経営:デブ)
ブクゼニ(アヒルとガチョウの飼育場経営:チビ)
ゼニシブリ(七面鳥の飼育場とリンゴ園経営:ヤセ)
しりとりのような三者の名前。
三人揃って羽振りも良いけど、そろいもそろってあくどい奴ら。
それぞれ違う嫌な面。
そのくせ同じどけちぶり。
近所のこどもたちに歌にされるようなこの三人が、ついに狐の巣穴をみつけてシャベルえ掘り始めます。
一方巣穴の中で、賢く素敵な父さん狐は、一計を案じます。
ところが、三人がトラクターを持ち出し掘り出したので、さ〜、大変
、・・・。
このあとの三人の農場主の間抜けさと父さん狐の賢さが対照的で愉快です。
賢さは生き抜く力ですね、父さん狐さん!
いつの間にやら、巣穴の中に一緒に入り狐一家を応援している気持ちになっていました。
巻末の“訳者から__空想対話・・・”も三農場主のネーミングにダールさんも訳者(柳瀬尚紀)さんも苦労された裏話がまた愉快でした。
読んであげるなら低学年から、一人読みなら中学年からかなと思います。