長谷川義史さんといえばアクの強い絵を描く絵本作家です。
大阪弁でいえば「コテコテ」となるでしょうか。
でも、そんな絵が私は大好きです。
生きているっていう感じが強くします。
泣いている子どもも泣きやんだりする。ケンカしていた子どもも仲直りする。
そんな強い絵が大好きです。
でも、この絵本は長谷川義史さんらしくない絵で出来ています。
もともと大阪の放送局の企画で南極に行ったアナウンサーと長谷川さんの文通から生まれた作品ということで、幼稚園を卒園し、春には小学1年生になる男の子のお父さんが仕事の関係で地球の裏側に行ってしまうという設定になっていて、そのために長谷川さんは子どもが描いた絵の雰囲気を出そうとしています。
文もそうで、絵と同じようにクレヨンで描いているように描いています。
遠く離れたところに行ってしまったお父さんを思う気持ちは大海に浮かんだお父さんの船が波に揺られている場面によく描かれいます。
文はこうです。
「ふねがゆれるの おとうさん、ぼくのこころもゆれてるよ。」
家族を残して単身赴任をされているお父さんなら思わずグッとくるところです。
男の子の気持ちを反映させたのか、長谷川さんは男の子の卒園式は雨だったと描きます。
だから、小学校の入学が映えてくるような気がします。
だって、タイトルの「おとうさん ぼくね・・・」に続く言葉は、ここでは書けませんが、まさにそういう場面だからこそですもの。