ソフィーのように1冊の本を大事にして、バラバラになるまで読んだことってあるでしょうか。私は、中学校の時に配布され、30年間くらい読んでいた新旧約聖書が、唯一ページがパラパラととれて、表紙も破け、太い輪ゴムでくくり、つい最近まで持っていました…。申し訳ないけれど、製本しなおしたいとまでは思いませんでした。
木が大好きなソフィーにとって、ルリユールおじさんとの出会いは彼女の一生の仕事の種になったのでした。完成のお礼にちいさな植木をプレゼントしていたソフィーの喜びと優しさが伝わりました。
「ルリユール」という言葉にはもう一度つなげる、という意味があるそうで、日本にはない職人なのだそうです。自信と誇りを持ってこの仕事をしていたのであろうことが、おじさんの様子からわかります。日本では子どもの本離れが嘆かれています。家の中で大人が本を読む姿を子どもに見せていないこと、つまり親も本離れしているのが現状でしょう。子どもを本離れにするのは学校ではなく、身近かな大人のせいかもしれません。1冊の本を大事にすることを、日本人は忘れてしまったのかもしれません。
「愛読書」という言葉があったはずです。胸をはって一人一人が自分の「愛読書」を伝えられるようになったらいいなぁと思います。
おはなしとは別に、『パリの裏道』を案内してくれているいせさんの絵もすばらしく、絵本でありながら画集でもあるように感じました。