哺乳類、霊長類の仲間「サル」の種類、暮らしぶり、食べ物、困った習性、環境問題など、いろいろな視点から紹介する絵本。全て鮮やかなイラストでリアル過ぎないが、生き生きとした表現。
動物の図鑑は楽しくて、個人的には大好きだが、「写真があまりにリアルで怖い」という場合もある。この絵本は、動物の生態をわりと詳しく紹介する科学絵本だが、デザイナーがかっこよく、おしゃれに絵を描いてくれたような雰囲気で、怖いところがひとつもなくて読みやすい。でも、しっかりと形や特徴を捉えているので、漫画のキャラクターみたいな感じではなく、実際のサルの様子が理解できるように工夫されていると思った。
サルは、身近な生き物なのに、知らないことがたくさんあった。
食べ物は、案外小動物なども食べたり、かにを食べたりする種類もあって、びっくりだ。芋や木の実といった植物性のものばかりでもないらしい。
また、分類方法が、旧世界サルと新世界サルに分かれているのもなんだか異次元空間から来た存在と、同時に地上に存在しているような不思議な気持ちになって面白い。
ニホンザルの温泉につかる話や、サファリツアーや外国の街中でサルにいろんなものを盗まれる話など、興味深い話題が満載。
近いようで遠い、遠いようで近い、微妙な存在だ。