知人が中学校での読み語りで取り上げていたのでセレクト。
なるほど、将来を見つめる頃にぴったりのストーリーでした。
『THE ANIMAL HEDGE』が原題。
直訳すれば、「動物の生垣」ですが、「おとうさんの庭」という意訳も味わい深いですね。
農夫が、3人の息子たちと農場で楽しく暮らしていたのです。
ところが、干ばつでこの農夫一家は、大事な家畜たちや農場も売ることになるのです。
小さな家に移り住んだ農夫は、生垣を見て、あることを思いつくのです。
それは、生垣に、動物たちを刈り込むこと。
やがて、その生垣は、3人の息子たちにも、進路を語りかけることになるのです。
トピアリー(樹木を刈り込んで動物の形などにデザインする)については、
『ナーサリー・クライムズ』や『魔術師アブドゥル・ガサツィの庭園』で知っていましたが、
なるほど、こういう視点もあったのですね。
生垣の成長を時間をかけて眺めて見えるもの、それが「心の底にあった願い」なのですね。
生垣の成長という、時間の流れとともに、
農夫の年老いていく様子、息子たちの成長していく様子が絵の中に丁寧に描かれていて、
時間を体感できます。
親子の間にある、心のつながりもまた、素晴らしい作品だと思います。
小学校高学年以上から、じっくりと味わってほしいです。