昔あるところに、遊ぶのが大好きな男の子、トムがいました。
ある冬の日、トムは、おばあちゃんが編んでくれた毛糸の帽子とマフラー、それから手袋を着けて遊びに行きました。
すると、手袋を片方なくしてしまいました。
おばあちゃんは、言います。
「大丈夫。明日探しに行こうね。今日はもう、寒い寒い」
でもその時、手袋は……。
寒い冬の日に落ちている手袋を見つけたら、その中に入って温まりたくなるのは自然なことでしょう。
ただ。
それが。
一匹で、そして小さい動物だったらいいのだけれど……。
トムの手袋の中に入りたい動物が、次々と現れます。
すでに入っている動物たちは断るのだけれど、相手が寒そうだから、結局入れてあげてしまうのです。
だから手袋は、思いやりの数だけ膨らんで膨らんで……、いっぱいになっても膨らんで……。
最後はとんでもない結果になりましたが、それぞれが誰のことも責めず、そして機嫌が良いのが素敵です。
人生にはトラブルが付き物だけど、でもだからといって幸せは簡単にはなくならないんだ、ということを教えてもらっているようです。