くまの子ふうちゃんのお母さんは、パンを焼くのがとても上手。今日もふっくらできました。お友だちにわけてあげてきて、と言われたふうちゃんは、パンを3個持って出掛けます。最初に出会ったりすちゃんに1個、次に出会ったうさぎちゃんにも1個、残りが1個のところで、きつねくんの3兄弟に出会います…。
絵がとってもあったかいです。動物たちの表情がみな優しくて。季節感あふれる素敵な挿絵は、眺めているだけで幸せな気持ちになります。ただ、ふうちゃんのお母さんの言った“減った代わりに増えるもの”が何なのか、最後のページから読み取ってほしい、という作者の意図はわからなくもないですが、内容的に幼児〜低学年向けと思えるこのおはなしの中で、あとがきにある「よろこび」「しあわせ」がその答えというのには、ちょっと疑問を覚えました。子どもはもっとわかりやすい、具体的な、形のあるものを想像するだろうと思いますから。絵が素晴らしいだけにその点残念に思いました。