とても静かなお話です。
学校にいけない草子(そうこ)は図書館通いをしていて
でも、それを見た大人が不用意に言う「学校どうしたの?」にいつもおびえていて・・・。
そんな草子を見守っている司書の深津さんの一言が
「しずかな子は魔女に向いてる」
そんな一言から物語が動き出します。
この本は、
現実の草子パートと
『しずかな魔女』という、草子に手渡される本という形の物語パートの
二重構造になっていて
それぞれが共鳴しあって、一つの作品として成立しています。
キーとなる登場人物のおばあちゃんが言う
「よく見ること、角度や距離を変えて、よく見ること。そして考えること」という言葉が
物語が進むにつれて、じわじわと染みてきます。
魔女の使う魔法は、奇想天外でファンタジーな非現実だけでなく
日常のどこにもあふれていて
人の心に何かをともすことができたら(たとえそれがおいしいお茶でも)
それは「魔法」なんじゃないか。
たとえおとなしく口下手でも、書くこと(手紙や物語など)で
魔法も起こせるんじゃないのか。
それならば人は誰でもお魔法使いだな(#^.^#)
心の深いところをそっと温めてくれるような、しずかな一冊です。