子どもたちを見ていると、自分たちの社会に存在する格差は、中学生でもはっきりと肌で感じていることが分かります。小学生も何となく、持つ者と持たざる者との違いを感じているでしょう。
彼らの疑問に分かりやすく応えてくれるのがこの本。
中産階級という、幅広い定義を持つ階級の説明は、子どもにも理解しやすいようにシンプルに書かれています。上流階級と労働者階級は子どもたちにもイメージしやすいでしょうが、この本において中産階級とは、何となく「大金持ちとごく”普通の”人たちの間にいて、労働者を監督するような立場の人」というイメージで捉えることができるのではないかと思います。
編集部のあとがきに書いてある通り、この本が最初に書かれた1970年代末には、社会格差は縮まっていくと考えられていたことでしょう。しかし、そんな期待とは裏腹に格差は広がる一方の世界。ですがこの本では、労働者階級こそが強かで公平性を重んじ、平等を信じる人々であるという立場がしっかりと主張されています。社会の大多数である労働者階級の子どもたちが、将来を切り開く勇気を持てる描き方に好感が持てました。
なお、見返しにはインドの双六「へびとはしご」が描かれていますが、子どもたちはこのゲームを知っていたので、そこで盛り上がっていました。