デイヴィッド・ウィーズナーは、1956年米国ニュージャージー州生まれ。
「かようびのよる」1992年、「3びきのこぶたたち」2002年、「漂流物」2007年でコールデコット賞を、「フリーフォール」1989年、「セクター7」2000年でコールデコット賞オナー賞受賞という超実力者。
精緻な絵、練られたストーリーに加えて、ユーモア溢れる仕掛けもあり、何度読んでも飽きることのない作品ばかりで、我家でも大人気の作家です。
今回の作品は、1987年発刊で邦訳は2006年。
夫婦初めての共作絵本となっています。
物語は、再話となっており、元は18世紀のイギリスの民間伝承の物語詩。
話は、正に正統派のファンタジー物語なので、いつものウィーズナーならではの作品を期待した向きには、肩透かしかも知れません。
でも、ウィーズナーが作品にすると選択しただけあって、展開自体が楽しめるもので、その冒険活劇に夢中になれるお子さんは多いはず。
描かれた絵は、どれも、見応えのあるものばかりで、中世の世界に誘ってくれること間違いありません。
魔法使いの部屋の妖艶さなんて、唸るしかありません。
ただ、おぞましいりゅうという邦訳ですが、見た目はとても綺麗な龍として描かれています。
おぞましいと言うと、見た目のことかと思うのですが、忌まわしいというような意味あいが近い気がしました。
正統派ファンタジーの魅力に、ウィーズナーの絵という絶妙な組合せを堪能できる作品です。
読み聞かせも勿論、小学校低学年のお子さんが自分で読むのも良いと思います。