紹介されていた時に図書館で探しましたが見つからず、今頃やっと借りてきました。
ちょうど2年前の3月、私は父(子ども達にとっては祖父)を亡くしているので、残された者の気持ちは痛いほどよくわかります。父はアナグマさんほど、穏やかな人ではなかったし、子(孫)煩悩でもなかったので、たっぷり遊んでもらったり、甘えた記憶はないのですが・・・。
でも、日常生活のふとした場面で、ふっと思い出すのです。画家であった父のこと、歌が得意だった父のこと、お酒が好きだった父のこと・・・忘れられない贈り物をたくさん残してくれたんだな〜と今になってしみじみ想うのです。
そして、これは私だけじゃなく、子ども達(たとえ3ヶ月の赤ちゃんで祖父の記憶は全くないだろう次女でさえも)や、血のつながりのない夫にとっても、感じている気持ちらしいのです。
この本を読んだ時、私の気持ちにぴったりだと、共感を覚えました。死という重いテ−マを扱っていながら、穏やかで暖かい気持ちになれる、すばらしい本だと思います。
そして、もうひとつ、アナグマさんは長いトンネルを走っていく夢を見ながら死んでいくのですが、こんな風に死んでゆけるなら、怖くないね。苦しくないね。父が亡くなった瞬間を思い出し、少し安心するのです。
死んでいく者と、残された者の両方の様子が書かれているところが、この本のすごいところだと思います。