私が子どもの頃は、子どもの定義があるでしょうが十歳前後だとしたらかれこれ四十年以上前の頃ですが、図書館はとても怖い場所だったような記憶があります。
薄暗くって、本の黴くさい匂いが漂っていて、時々きっとこちらをにらみつける気の強そうな司書さんがいたりして。
ところが、今はすっかり雰囲気が変わりました。明るい採光、きれいな本。笑顔あふれる司書のおねえさん。
なんと幸せところでしょう。一日いても飽きません。
それに、やさしくて気立てのいいライオンがいたら、もっといい。
だって、そこは、みんなの図書館なんですから。
現代の図書館だって、たぶんまだまだ不満はある人はいると思います。
勝手きままに走り回る子どもたち、それに注意もしないお母さんやお父さん。閲覧机を占領する学生たち。こっそり図書館の資料を切り取る人たち。愛想のない司書たち。読みたい本が所蔵されていなかったり、ベストセラーばかりがあったり。
それに、やさしくて気立てのいいライオンもいません。
みんなの図書館なのに、どうしてでしょう。
私は、それでも図書館が好きです。
子どもの頃にように、もう怖くもありません。とぼしい予算のなかで図書館のみなさんがいろんな工夫をしてくれています。
それに、図書館にいると、やさしくて気立てのいいライオンだけでなくて、海から顔をのぞかせるクジラにも、野原を走るオオカミにも、昔のとっても偉い人にも、未来のかわいい少女にも出会うことができます。
だって、そこは図書館なんですから。
この絵本を読んで、そんなことを思いました。