小林敏也さんは宮澤賢治の作品に執着し、独自の画風にこだわり、絵本を芸術作品として位置づけた人だと思います。
それをもってこの「画本」を見ると、宮澤賢治の文章と小林敏也の絵が一体化された本になっています。
『蛙の消滅』は初めて読みました。
二匹の蛙が、ゴム靴を手に入れた仲間がてんとう虫にみそめられたことを妬み、仲違いした結果、二匹が作った落とし穴に三匹とも落ちてしまいます。
「消滅」と言うのですから、余りに悲惨な結果で、説話的な作品です。
その内容だから、一段と小林敏也の絵が印象的なのでしょうか。
てんとう虫が、ゴム靴をなくした自分の婚約者を見分けられないというエピソードも何やら風刺的です。
見て飽きない一冊でした。