ルドウィッヒ・ベーメルマンスは、ことのほかクリスマスが大好きな方だったそうです。
タイトルを見て、クリスマスのお話かなと思い開きました。
こちらの作品は1953(昭和28)年に書かれたものです。
日本では2007年初版というから、手に取れてなんともありがたいですね。
お話は、深い深い緑の森のその外れに、切り立った崖を見下ろすようにたっている一本のたいそう古いもみの木。
このもみの木の生まれた場所が場所だけに、人間に切り倒されることはありませんでした。
しかし、ここで生きていくということは、厳しい自然と闘わなくてはなりませんでした。
他のもみの木とは異なり、捻じ曲がり体を捩じらせ、崖の淵を這うように大きくなったもみの木のそばにシカが棲み付きました。
シカは、もみの木のそばに生えるパセリが大好きで、ほかのシカたちにも教えてやり、仲間から「パセリ」と呼ばれるようになります。
この後も年老いたもみの木とシカの「パセリ」は友情を深めていきます。
が、ある日買ったばかりのよく見える双眼鏡で、一人の猟師がシカを見つけ、・・・。
ちょっとクスリとしてしまうエンデイングに、心があったかになりました。
そして、巻末の“この ほんに でてくる はなの なまえです”のページ数のついた一覧に、ベーメルマンスらしいなぁ〜って感動してしまいました。