うちにもドラゴンが来ちゃったらどうしよう。
やっぱり息子はお世話をするんだろうな。
なぜ?どこから?なんてことは、考えなくっていい。
ただただかわいがり、かいがいしく世話するこの二人の姉弟。
ドラゴンへの優しい眼差し。
信頼に満ちたつぶらな赤い瞳のドラゴン。
見つめ合う両者の間に生まれる美しい感情。
しかし、別れを自覚するドラゴンの気持ちの沈んでいく様子と、別れた後にわきあがって来る切ない姉弟の悲しみ。
ハッピーエンドの作品が多い昨今ですが、「別れ」の悲しみを子どもの目線でしっかり捉えた貴重な作品だと思います。
小さいお子さんも絵本を通し間接的ではありますが、この「悲しみ」という人間の感情を理解・獲得してくれるのではないでしょうか。
リンドグレーンさんの作品の絵を担当する事の多いヴィークラントさんですが、この作品の登場人物の豊かな表情の表現もさることながら、終盤の夕景の美しさに魅了されました。