田中清代さんの日本情緒あふれる絵が素晴らしく、心の中の原風景を見るようで、なつかしさでいっぱいになります。神社の境内、柿の木、お寺の鐘、田んぼの風景・・・。娘の目には、新しい景色として映るのでしょうけれど、ふるさとのあたたかさのようなものを、この絵本を通して伝えられたらいいな、と思いながら、心をこめて読んでいます。
子どもの頃、誰でも1度は経験したことがあるであろうお話。「おいかけて」でなくても、何かに夢中になっているうちに、気がつくと辺りは真っ暗。急にこわくなって、お母さんが恋しくなって、家に走って帰った・・・そのときの気持ちや空の色がなつかしく蘇えってきます。
娘は、2人が猫を見失って、暗闇の中で立ちつくしている場面で、「おねえちゃんは、こわくないの?」と、心配そうな顔で聞いてきます。そして、裏表紙の絵に、にっこり。その笑顔に、私もにっこり。