2008年のアメリカの作品。
グリム童話の再話ということなのですが、確かに読んだことのあるような話です。
グリム童話は、「本当は恐ろしいグリム童話」という書籍が刊行されるくらい原作は残虐な話が多いのですが、今回は再話ということで、少し押さえ気味の感がありました。
原題は、「Ouch!」
邦題が、あいててて!なのですが、この題名の由来を知りたいところです。
物語は、王冠のアザのある赤ちゃんが生まれるシーンで始まります。
占い師が、「大きくなったらお姫様と結婚する運命じゃぞ!」と言ったものだから、聞きつけた王様は面白くありません。
王様は、身分を隠し男の子の家を訪ね、沢山のお金を渡し、王様になるに相応しく育てると引き取るのですが、それは全くの嘘。
赤ちゃんを箱に入れて川に投げ込んでしまうのです。
ところが、赤ちゃんは、粉やの親父に拾われて育てらます。
その後も、この男の子に運が味方し、逆に何とか王様になるという予言を阻止しようとする王様の悪巧みはことごとく失敗するのです。
地獄や悪魔も登場し、物語として読み手を惹きつけることは間違いありまえん。
そのエンディングで、王様が地獄の淵を流れる川の渡し守になってしまうのですが、これって、ハッピーエンドなのか、一寸疑問です。
王妃やお姫様は、どう思ったのかの記載はないので分からないのですが、やはりグリム童話という側面があるのかも知れません。
原作を読んだことがないので比較しようがないのですが、ナタリー・バビットが再話したストーリー展開が素晴らしく文句のつけようがありません。
人物像の描写も良いし、ワクワクドキドキ感に溢れていて、冒険活劇としても充分楽しめます。
そして何よりも、フレッド・マルチェリーノの描く絵が、秀逸です。
中世の風景や地獄絵図の素晴らしさもさることながら、人の表情の豊かさに魅了されました。
一見の価値は充分にあると思います。
完成度の高い作品としてオススメします。