自然を敬愛する二人の作家によって作られた美しい絵本です。詩も絵も、冬の張りつめた静寂の中、みみずくに出会う体験がなければこれほど真に迫っては描けなかったでしょう。作家家族たちの特別なできごとを絵本を通して共有できることは、読者にしてみても貴重な体験だと思わずにはいられませんでした。
作中登場する農場は画家自身のものということで、北米に生きる人々の息づかいまでもが伝わってきました。イラストは特に構図がすばらしく、凍てつく月夜のできごとが美しく描かれています。女の子の音を立てまいとする真剣さが、このできごとがいかに特別で待ち望まれていたものなのかをよく物語っていて、彼女の気持ちに触れるたび愛しさでいっぱいになりました。
同年代の女の子が登場するし、ちょうどふくろうに遭遇したこともあり、娘にいいかなと思った絵本でしたが、味わうにはもう少し年月が必要なようでした。文章自体は詩ということもあってか、息子の方がかたわらでじっと耳を傾けていました。
描写対象は何であれ、真実の美しさがあればどんなことでも胸を打つ。この事実をあらためて教えてもらえた作品でした。