【あらすじ】
朝、学校のみんなの前で一人ずつ何かを発表することになっている。他の子どもはみんな珍しいものを持ってきて発表しているので、ハキちゃんもみんなが驚くようなものを発表したい。しかし、うちにはそんなものもなく、仕方なく、探しに出かけるが…
子どもの瑞々しい興味や好奇心、いろいろな感性が楽しめるお話。
【感想】
クラスの一人一人が強烈な個性を持っていて、それが一人残らず「普通の子」ではない雰囲気を醸し出していて、圧倒されました。どの子も、その後の数奇な人生を暗示させるような(といったら大袈裟かしら)、ただならぬ雰囲気があります。絵がまず、生々しくて、教室の匂いや原っぱの匂いがしてきそうです。
子どもに対する幻想が、あちこちにあるような気がしていますが、この本を見ていると、子どもと言えども煩悩の塊で、それは大人とたいして変わらない気がします。他の子みたいにスゴイものを持ってきたい!という主人公の気持ちは、自然な見栄っ張り根性だし、一緒に変な生き物を探す男の子は変人だし、お母さんは現実的な体形で現実を生きています。(外国のもの→中国製のパンツ、というセリフが、私は大好きです。安く手軽に、面倒なく済ませたい!という母の本音が見事に表現されていると思いました)
虫眼鏡を使って、軽く現実逃避している男の子は、子ども時代にはよくある話ですが、このまま大人になったら間違いなく「嫁の来ない、マニアの男」という怪しい進路を進みそうです。十代のうちに「つまんない普通の人」になるかどうか?将来のこの男子の成長ぶりが楽しみです。
あらゆる煩悩を、うまいこと表現していて、エグイけれど、楽しい一冊。ギャグだと思ってお楽しみください。