ひろしくんは淡々と穴を掘っています。
何のために穴を掘っているのでしょう。
いろんな人が覗き込みます。
不思議な話です。
子供向けでもあり、大人向けでもあり。
遊びのようでもあり、哲学のようでもあり。
表紙に描かれた、穴からのぞいた空。
和田誠さんは、穴の意味をそこに見つけたようです。
穴から見上げた空をちょうちょが一匹ひらひらと飛んでいきます。
自分で満足できる景色。
これは分かります。
「何のために山に登るのか」
「何のために旅に出るのか」
最初から答えがわかっていたら、山登りも旅も楽しみが半減するでしょう。
不思議ながら妙に納得してしまった作品です。