第67回青少年読書感想文全国コンクールの小学校低学年の部の課題図書。
童話というより絵本のジャンルにはいるのでしょうが、長い文が苦手な子どもや絵がないと楽しめないという子どもには、これなら感想文も書けるかもしれません。
それに色彩の鮮やかなたかおゆうこさんの絵や、まるでスタジオジブリのアニメになりそう素敵なタイトル(実際ストーリーも短編アニメにしてもいいような出来上がりです)など、ちょっとおしゃれを意識し始めた子どもたちにはぴったりかもしれません。
物語の主人公は何代も続いている「あなふさぎや」のジグモンタ。
「あなふさぎや」というのは洋服に空いてしまった穴をふさぐ仕事。昔は子どもたちがこしらえた服の穴などはお母さんが夜なべをしながら繕ってくれたものです。
ジグモンタはジグモという蜘蛛。
なので、8本の手足を巧みに使って、穴をふさいでいきます。
ところが、最近空いた穴をふさぐのではなく、服を新調してしまうお客が増えてきて、ジグモンタはさびしくなっています。
そんなジグモンタは、フクロウの親子が破れた毛布で寒そうにしているのを見て、夢中でそれを繕ってあげました。
フクロウのお母さんはとても喜びました。
ジグモンタも自分の仕事にやりがいを感じ、さらに新しい手法であなふさぎを始めます。
ものを大事にあつかうことの大切さだけでなく、少しばかりの工夫でひとに喜んでもらえることができる。
そんなことを教えてくれる、とってもおしゃれな絵本です。