「戦争が終わったら新しいオーバーを買ってあげよう」と約束したお母さん。
戦争は終わったけれど、店はからっぽ、お金もない。
だけど、お母さんはアンナに1年かけて約束を果たします。
金時計と交換に羊の毛を手に入れ、ランプとひきかえに羊毛を毛糸に紡いでもらい…。
お母さんは身の回りの物と交換にオーバーを形にしていきます。
アンナと一緒に赤く染めた毛糸は、これ以上ないと思えるほどの赤。
オーバーを作るのに関わった人たちと一緒に開いたクリスマス。
アンナにとってはこれ以上ないクリスマスでしょう。
さりげなく描いているけれど、良く考えると重いお話なのですよ。
表に出てこないけれど、戦争で荒廃した暮らし。
お母さんはオーバーのために財産を削って行く。
1年たってやっと普通の生活になってきたようですが、お父さんはいない。
アンナにとって赤いオーバーはいろいろな思いが込められた衣服になったと思います。
もう少し戦争が顔を出しても良かったのでは。
しあわせ感いっぱいで受け取ってしまったら、オーバーの色は少し褪めてしまうのではないかと思います。