言わずと知れた「ももたろう」のおはなし。このお話はたくさん絵本になっていますが、やっぱり赤羽末吉さんの絵で読みたくて、この絵本を選びました。
勇ましくて正義感あふれたももたろうの姿。懐かしい雰囲気の山里の風景。鬼退治の場面の行きと帰りの対照的な描き方。どのページも絵が多くのことを語っていて、じっくりと楽しむことができます。大人が昔話を楽しむなら、この絵本はピッタリではないでしょうか?
ももが「つんぶくかんぶく」流れる様子や、ももが「じゃくっ」と割れる音、きじやさるたちがお供になる繰り返しのくだりなどは、何度読んでも心地よい文章で、読んでも聞いても楽しい気分になります。
鬼退治の帰り道、穏やかになった海を進む船をよく見ると、鬼が二人舵取りをしているのを発見しました。そうか、改心した鬼がももたろうたちをきちんと村へ送り届けているんだ、鬼って、怖いだけの存在ではないのかも?と思ったり。昔話の奥深さに感動しています。
ただ、一緒に読んでいた娘は、鬼たちから宝物をもらわないところが納得できないようで、「鬼から宝物をちゃんと返してもらって、村の人に渡すんだよね」と言っていました。子どもには、鬼たちが村の人たちから取ったものを返してもらう結末の方が、わかりやすいのかもしれません。