ノンフィクションものを手がけられる事の多いウィンターさんが、絵本作家ビクトリア・ポターが、「ピーターラビット」を生み出すまでを丁寧に描いています。
カバー折り返しにもあるように、まさにこの作品は“新しい伝記絵本”と呼べるものだと思います。
ポター自身の手紙と日記に基づく、彼女の生涯の様々なエピソードに拠るものだそうです。
利発で動物好きで観察眼も鋭く、絵を描くことにも才長けていた少女時代のポター。
語られている文の端々に見え隠れする仕事で忙しかった母への憎悪にも似た不満・娘の画才を伸ばそうと教師をつける教育熱心な父親への冷めた眼差しにも、幼いながら自己確立のできていた人なのだと驚きました。
およそ私の想像していたポターの少女時代とはかけ離れたものでした。
彼女の中の孤独を埋めるようにして飼われた野うさぎとの出会いから、後半の人生までが丁寧に語られています。
大人の方向けだと思います。