ちょっと碁の打ち合いを見ていただけなのに、何百年も経っていたという、
この展開の唐突さ、理不尽さが、いかにも昔話らしいです。
王七のことが言い伝えられ、残された妻子のあまりの気の毒さに、
ちょうちんまつりでもそのことを演じて歩くのを見た時の、王七の絶望感とは
どれほどのものだったでしょう。
でも、そこからの展開は昔話にしては、少し珍しいのでは?
なんとかして妻子に会いたい、と必死で頼み込む王七が願いを叶えるのは、
並大抵のことではありません。
が、割と容赦ない昔話の世界で、こういうチャンスがあるというのが
面白いなあと思いながら、最後まで夢中になって読んでいました。