この絵本が、林明子さんの絵に触れた最初の本です。
4、5歳くらいの頃、母に買ってもらいましたが、引っ越しを繰り返した今でも実家に大切に置いてあります。
子ども心にも「まみちゃん、なんてすごいことを思いついたんだ!」と思い、「自分も両親の10回目の結婚記念日には……」なんて思っていたものです(実際には、ものの見事に忘れていましたが)。
温かみのある絵も大好きで、画集を眺めるように、絵ばかり見ていたこともあります。まみちゃんが隠した手紙を、幼かった私も一生懸命探していました。
「木」のマークの文字が本当にメッセージになっているのか何度もページをめくって確認したり、入れ子式になった小さな箱がうらやましくて折り紙で作ったり……。
思い出がたくさんあります。
子どもたちにはたくさん本を読むことで様々な世界があることを知ってもらいたい、と思っているのですが、こんなささやかな「家庭」という小さな世界にも、温かい愛情が溢れていることが伝われば……。
娘にはいつも絵本を買って与えていたのですが、この絵本だけは、おかあさんも子どもの頃に読んでたんだよと、実家にある絵本を譲って渡そうと思っています。