「赤い鳥は?」「きつねも、もうねちゃったかな」パパはいつだって答えてくれる。赤い鳥のことを教えてくれたおばあちゃん、きつね、そしてねむっているママのことを想う。そして、パパと出掛けた外で流れ星を見つけた。
ボートのような月、ボートのようなパパのうでに守られ、「だいじょうぶだよ」というパパの言葉に抱かれて眠る。
不安で切ない気持ちを持つ小さな男の子は、きっとあなたそのもの。大切な人のことを想う時に、ボートのような安心感で抱き締められる。
この絵本は、自分ひとりで読むのも良いけれど、誰かに読んで聞かせると、その日本語にされた優しさを強く感じる。
切り絵や立体的な形となりで、パパとぼくの世界は立ち上がっていく。青と赤と白がきれいな色彩はノルウェーの国旗の色みたい。白と赤は深い印象を残す。誰かに読んでもらえば、絵本から立ち上がる静かな空間に身を任せることができる。子どもだった自分に戻れる大人の絵本。 美しい雪風景が、すべてを包む静かな時間。