人種差別をなくすための運動家としてキング牧師は有名です。でも普通のどこにでもいるような女性が、黒人が座ってもいいとされている席を白人に譲れと言われたことに対し、ノーと言ったことによってその女性が逮捕され、彼女を見殺しにするなと考えた黒人たちがバスボイコット運動をして、その運動のリーダーになったのがキング牧師であり、この運動によってバスの中では白人・黒人を差別してはならないという最高裁判決を勝ち取っていくという内容です。タイトルにもなっているローザ・パークスはアメリカの公民権運動の母と呼ばれています。
もし自分がその場にいたら、ごたごたを起こしたくはないので譲ってしまうでしょう。だからローザはどこにでもいそうな女性に見えてしまうが、どんな人よりも強い意志を秘めた女性なのでしょう。
人種差別だけではなく、さまざまな問題を一つ一つ長い時間をかけて解決しながら作り上げていった国がアメリカなのだなと思いました。アメリカでは知らない人に会ったら笑顔を見せなくてはいけないが、日本では新幹線で隣の席に座っても挨拶一つしないでいる場合が多い。しかしこのことはアメリカ人が社交的だということではなく、他人は何を考えているかわからないから、私はあなたに危害を加えるつもりはないんですよ、ということを暗に表現するために笑顔を見せるのだということを以前テレビで聞きました。
この点日本は幸せな国と言えると思います。でも日本では人種差別は一部の例外を除いてほとんど存在しないように見えますが、目に見えないような差別はさまざまあって(外国人は何十年も日本に住んでいて日本国籍も取り、日本語も日本人以上に話せたとしても、日本人とは思われない点など)に、目に見える差別よりは一層やっかいだなと、そんなことも考えさせられた本でした。