1968年刊行。突然、かみなりの息子が落ちてきて、だるまの息子と仲良くなり、雷の国に遊びに行く話。
60年〜70年代のSF映画などの雰囲気が感じられる。
横長の絵本で(当時の人が考えていた)未来の風景が、広々と展開されて、カッコいい。意外と雷の世界は電化・都市化が進んでいた。
ドリフの名作コントのような、昭和の長屋を思わせる雷様と違い、
古典絵画の「風神雷神図屏風」のような、江戸時代風のものでもない。
新しい雷様の世界を、作者は表現してみたかったのだろうか。
高橋るみ子の漫画「うる星やつら」に通じる世界観だと思った。
自分発電できる人ばかりなので、エネルギー問題は解決済み。
電気の技術でなんでも解決していって、ついでに経済問題も格差も環境問題も全部解決済の世界。
でも、意外と子どもの遊びは昔風の体を使ったものだし、人々の生活も昭和っぽい。実はそのくらいが、人間にとってはちょうどいいのかもしれない。
絵を見ていると、いろいろな発見があり、突っ込みどころも満載で、考えさせられるところもあり、飽きない。
昭和のだるまちゃんと、未来の世界の雷ちゃんは、全然文化が違うだろうけど、仲良くなった。
いろんな違いがあっても仲良くなれる、というメッセージをもらったきがして、心が温かくなった。