話の先が見えず、時計職人チェルヌイシェフの謎と祖母の謎が複雑に絡み合うさまが秀逸。
それぞれの過去が、現在の自分や町にまで繋がっているところなどは、スケールはどうあれ誰しもが感じながら大きくなる部分ではないでしょうか。また大人の気持ちをちょっと理解する瞬間でもあったりして。
なぜ祖母が消えたのか。
おじいさんや周囲の人々の気持ちが、大人にならわかると思う。児童文学だけども、大人でないと読み解けないかもしれない懐の深い話でもある。
現実に生きる手ごたえや楽しさを知ったフー子の物語ともいえるかな。
また挿絵がすごく世界に合っていて魅力的でした。
汀館の描写も素晴らしく、住んでみたいと思ったのは私だけではないはず。
おじいさんの通う喫茶店に、私も行きたい。あそこでお茶したい。私個人の勝手な想像では、五島列島あたりを考えていました。違うだろうけど。
大好きな作品です。