ならの大仏さまについては、つくられた背景やその後、何度か戦で被害を受けたといったことについて、これまで学校で学んできました。そのため、「ならの大仏さまのお話ね…」と気楽な気持ちで読ませていただきましたが、加古さんの意図はとても深淵でした。
この絵本では、歴史の教科書と違って、大仏さまに関わった多くの人の、その人たちの目線・考えを含めた「大きな歴史のなかでの大仏さま」のお話が描かれていました。そのため、歴史の教科書に書かれていることと同じ内容でも、もっと身近に、現実味をもって感じることができました。
この絵本は、子どもが読むには難しい内容だと思います。
学校で日本史を習った娘といつか読んでみたいと思いますが…加古さんの「大仏の歴史を通して人間の弱さや美徳を学び、生きる上での『道しるべ』としてほしい」という願いを受け取ることができるようになるのは、一体いつになるのでしょうか。
大人の私にも十分、難しいお話でした。
ただ、だからこそ、読みたい、読むべき絵本だと思います。