地元の新聞でこの絵本を知りました。あらすじを知り、是非読んでみたいと早速、本屋へ走りました。
読んでみると・・・。買わずにはいられませんでした。
先日、突然に父を亡くした私は、主人公のくまが自分と重なって思えたのです。今も悲しみの中にいる母とも重なりました。
大事な人を失った悲しい現実をすぐに忘れることなど、誰にもできません。私と母も、お互いの寂しさを何度も何度も繰り返し話し合い、父とのいろんな思い出を思い出すことで少しずつ気持ちを落ち着かせることができています。
この絵本のくまも「つらいだろうけど、はやくわすれなくちゃ」と言われ、家に閉じこもってしまいました。どんなに寂しかったことでしょう。そんなこと分かっているんです。
しかし、時間の経過がくまの気持ちを外へ向けてくれました。そこで、やまねこに出会うのです。
やまねこは、「ずいぶんさびしい思いをしてるんだろうね」と言ってくれました。くまの気持ちに寄り添ってくれたのです。そして、バイオリンを演奏してくれたのです。
なめらかな音楽に合わせて、ことりとの楽しかった思い出がよみがえります。やまねこのお陰で勇気を取り戻したくまは、ことりを埋めることができたのです。
やまねこは、くまを演奏の旅に誘います。そして、くまに古いタンバリンを差し出します。ずいぶん古いタンバリンを見て、くまは他の誰かが使っていたのだと気づきます。
しかし、誰なのかを聞かずに演奏の旅について行くことにしたのでした。
私も母も、このくまと同じです。たくさんの方に悲しい気持ちに寄り添ってもらい、癒しのために気持ちのこもったお菓子や花やお手紙をいただきました。母には、私からこの絵本を紹介しようと思っています。
子ども達には、高学年の読み聞かせに読んでみたい一冊です。