この絵本に最初に出会ったのは、まだ「こどものとも」のうすい絵本のときでした。年の離れた弟に読んで聞かせた憶えがあります。男の子にとってはちょっと共感しにくいところがあるかもしれませんが、女の子(お手紙やプレゼントが大好きですもんね!)はだれでも好きになってしまうお話じゃないかなと思います。
お引越しで、家の中のことも外のこともわからないかなえちゃん。お母さんにいろいろと質問をしてみるのですが、忙しそうに片手間の返事しかしてもらえません。そういう「おかあさん」の姿や受け答えが、家事をしているときの自分に似ていてちょっとどきっとしたりもします。子供はちゃんと、母親の気持ちがどこを向いているのかをしっているんだな、と改めて反省させられます。
なじまない場所では子供はなお敏感になって、いろんなことを感じ取るんだなということがかなえちゃんの目をとおして大人にも伝わってきます。
絵も、やさしいタッチでとても綺麗です。3、4才の女の子のかわいらしさを存分に伝えてくれています。個人的にはかなえちゃんがおはじきをしている絵が、ほんとうに透明感溢れていてすきです。