最近、はまりつつあるデイヴイッド・ウィーズナーの1999年の作品。
三度目のコールデコット賞の受賞というのも、納得できる素晴らしい作品でした。
この絵本に訳者はいません。
なぜなら文字がないからです。
2007年のコールデコット賞受賞作の漂流物は、文字がなく海を題材にしていますが、この作品は空を描いています。
ある日、少年が課外授業でエンパイア・ステートビルを訪れて、展望台で雲の子に出会います。
その子に誘われていったのが、セクター7。
雲の製造工場といったところでしょうか。
雲たちは、どうも雲っぽい形に不満があるようなので、少年が魚の形の作業指示書を作成してあげると、大喜びで魚の形に変身していきます。
でも、工場の人に見つかって大目玉。
少年は、エンパイア・ステートビルに送り返されてしまいます。
でも、雲の単一的な形には、工場の人も少し嫌気がさしていたらしく、サプライズのエンディングが感動を与えてくれます。
雲の製造工場という発想に脱帽です。
その施設のつくりは、本当に見事で映画化されたらどんなに楽しいことかと、ワクワクさせられてしまいました。
文字がない分、解釈は人それぞれで、どんどん夢が膨らむお話だと思います。
子供も大人も十分に楽しめる絵本です。