油絵の重厚な雰囲気が、秋にぴったりな絵本です。お話は小さい子向きというよりは、友達との関係に悩み始める小学生〜大人におすすめです。
私達の年齢になっても、心ない噂や人の言葉に傷ついて、気持ちを閉ざしてしまうことがあります。小学生ならなおさら、ちょっとした言葉のすれ違いが長引いてしまうことも多いようです。
この絵本の中のどんぐりの木も、生まれて初めて実をつけたどんぐりを、りすから「まずい」と言われ、変な噂もたってしまい‥すっかり心を閉ざし、どんぐりの実をつけることができなくなってしまいます。
でも、別の場所からやってきたリスによって、頑なだった心が少しづつほぐれていくのですが‥リスと仲良くなればなるほど、どんぐりをつけられないことを知られて、リスが離れていくのではないかと不安を感じます。
その不安は現実になるのですが‥その時のリスの答えは潔くて、とても爽快です。こんな友達がいたらこれほど心強いことはありませんね。言葉遣いは荒っぽいけれどリスのどんぐりの木に対する気持ちは本物でした。
リスとどんぐりの木との関係は友達のようにも、恋人のようにも感じます。愛の告白にこの絵本を贈るのもなかなかいいと思うのですが、いかがでしょうか?