あまりたくさんの言葉を使わず、ひとつの言葉の秘める可能性を限りなく掘り下げるスタイルの五味太郎さんの絵本たち。この絵本も同じく、いろんな「たいへんなこと」が身の上に起こる(起こりまくる?)ねずみくんが、受難のたびにちょっと笑ってしまうような変貌を遂げます。『ねずみくん だいじょうぶかしら』という言葉がくりかえされるうち、子供の方でも憶えてしまって「だいじょうぶかしらー??」と一緒に声をはりあげるようになっていきます。かわいらしい言葉ばかりの絵本なので、子供が憶えて口にするのもまたかわいらしく、ほほえましいです。
『だいじょうぶかしら』と心配しているようで、でもちょっと次を期待してしまう、子供のユーモアが育つ本ではないかなと思います。