自然と人間とが織り成す、なんとも愛しくてたまらない作品です。
「ここへ畑起してもいいかあ。」
「いいぞお。」森が一斉にこたえました。
住む場所を求めてやって来た人間を、森は優しく受け入れてくれる。
狼森の狼、笊森の山男、盗森の黒い大男、そして形はないけどさっぱりした性格の黒坂森。
みんなとても愛らしくて、親しみやすいのです。
森は昔からずっと当たり前の様にあって故郷の様に懐かしく感じるのは、昔の人々が森との関わりを大事に大事にしてきたからなんですね。
最後、黒坂森の岩が言った「そのあわもちも、時節がら、ずいぶん小さくなった」という事こそが、宮沢賢治が今を生きる私たちへ伝えたかったメッセージなんだろうなぁ…と、思いました。