淡く優しく、繊細に丁寧に描かれた絵。
表紙を一目見て抱いたイメージ通りのお話でした。
海面がだんだん上がってくるのに合わせて、上へ上へと積み木を積み上げるように家を重ねて住んでいるおじいさん。
おばあさんに先立たれても、街の人がみんな引っ越してしまっても、1人のんびり楽しく暮らしています。
友達とチェスをしたり、子どもたちからの手紙を読んだり…。
でも、海に潜って1つ1つの家とともに残された思い出をたどっていくおじいさんの背中は、とても寂しそうにみえました。
寂しいけど、おじいさんはきっと孤独じゃない。
最後のページに描かれた穏やかな笑顔に、切なくて温かい気持ちが溢れました。
おじいさんはきっと、思い出と同じように寂しさや切なさも大切にしているんだろうなぁ。