非常に評価の難しい絵本だと思いました。
真っ白の毛皮に、赤い目の一家から、たった一匹、変わったうさぎが産まれました。
ちゃいろの模様に、青い目のスポッティ。
おかあさんは、その事に思い悩みます。
「おじいさんが知ったらいやがるかもしれないわ。かわいそうなスポッティ」
このおかあさんは、スポッティの事を愛しています。
けれど、やはり、この毛並みの変わった子供のことを、全面的には受け入れていないのかもしれません。
おじいさんの誕生日に、スポッティを置いて、他の兄弟たちと出かけてしまいました。
スポッティは、ひどく傷つき、自分のぶちを消してしまおうと努力をしますが、うまくいきません。
彼は、ついに、家を出る決心をします。
みんなと違う個性を持って生まれてくるという事が、どういうことなのか。
そして、それを受け入れるということが、どういうことなのか。
この絵本はそれを語りかけます。
前半がびっくりするほどシビアです。
子供たちが、スポッティのことをすんなりと受け入れているというのに、
大人たちは、スポッティがマイノリティであるがゆえに、そのすべてを受け入れることが出来ません。
けれど、この大人たちを非難することが、はたして私に出来るのだろうか、と考えさせられました。
すべての人をうけいれるべきだ、と口にするのは簡単です。
それは、正しい意見であり、理想です。
けれども、これほど難しい課題はないのかもしれません。
私たちは、この課題に、全力を持って立ち向かわなくてはならないのでしょう。
あんまり小さい子供だと、自分の個性を大事にしていいんだ、と思う前に、
前半部分で、打ちのめされてしまうかもしれません。
その部分があればこその、あのすばらしいラストなのだと思いますが。
この絵本を、私はすばらしいと思いますが、
これは、心を鍛えてからでないと、子供が受け取るには難しい本だと思います。